特集:立美卒業生平井さんへインタビュー

2017年度夏期講習会のパンフレットの表紙として印象的な新幹線のグラフィック、立川美術学院卒業生の平井智子さんの過去作品を使用させていただきました。特設ページの冒頭で流れるモーショングラフィックス技術担当の田島広大が、平井さんに質問しました!

平井智子(ひらいともこ)
2011年 立川美術学院昼間部 在学。2016年 武蔵野美術大学造形学部デザイン情報学科 卒業。現在 ヤフー株式会社 デザイナー。

田島:今回、夏期講習会の表紙およびイメージグラフィックとして、タチビ時代の作品が選ばれましたが、どのようなお気持ちですか?
平井:何年も前に作ったグラフィックなので、ご連絡をいただいた時は正直驚きました。
同時に、今見ると「まだまだ未熟な作品だな」と感じてしまうので、自分的にはちょっと恥ずかしい思いでしたが、予備校時代の同期に見せたら、「今見てもいい作品だね!」と言ってくれたので、少し自信が持てました。

田島:私もいい作品だと思いました。広告媒体に対応して変化できるというのはデザインとして優れていると言えますよね。今回アニメーションを作る上で、手書きの作品をパス化したんですけど、そうやってなぞってみるとシンプルな構成ながらもポイントで新幹線の形状とかにこだわっているのがわかりました。そういった意味でデザインする上で自分のスタイルというかこだわりみたいなものってありますか?
平井:描写とかは得意じゃなく、その分グラフィックの課題は好きでした。グラフィックの課題の時は、その時に影響を受けたグラフィックの作風に寄せるなどの工夫はしてたと思います。この作品を見る感じだと、ポールランドの色づかいや幾何図形に関心を持っていた頃かもしれません。

田島:その時々で影響を受けたものに対して、しっかり実践していたんですね。そうやって作られたものが今回モーショングラフィックスとして動いたわけですけど、そのことについてはどうお考えですか?
平井:グラフィックとして見慣れた作品だったので、動いた時は新鮮な感じでした。

田島:描いた時は意図していなかったと思うのですが、動画として自然に馴染んでますよね。
平井:グラフィックに動きを付けてるからこそ、リアリティのない世界なのが不思議な感じに なってると思います。

田島:立美時代や、夏期講習会の思い出などありますか?
平井:高校生の時から2 年間以上お世話になっているので、思い出も多いですし、いまだに仲の良い友達は立美時代の同期だったりします。
夏期講習の思い出は、地方からの学生や「これから美大受験を考えている」学生が講習会が終わる頃には力がついてるのをみると、焦ったり不安になったりしましたが、良い刺激にもなりました。

田島:なにかを掴んだ人は急に伸びたりしますよね。先生のアドバイスをすんなり吸収できる人とか、はたまた自分なりの解釈で見いだす人とか。平井さんはどんな学生だったのですか?
平井:どちらかというとなかなかコツも掴めず、アドバイスも吸収出来ずでかなり不器用なタイプでした(笑)
デッサンも近視眼的になりがちで最後の最後まで苦戦してました。

田島:不器用なんですか?(笑)新幹線の平面からは論理的とか要領の良いタイプの印象を受けました。
平井:デッサンや描写の課題が苦手だったので、空間を認識するのが得意じゃなかったのかもしれません。

田島:自分の得意なこと、不得意なことを把握することは大切だと思いますか?
平井:大切だと思いますが、私は得意なことがひとつもないです(笑)
得意、不得意も含めて、「自分のことを知ろうとする」ように出来る限り努力しています。
田島:謙虚なんですね。

田島:大学はデザイン情報学科を卒業なさったと伺っていますが、どのようなことを学んでいたのですか?
平井:1、2 年目でデザインの基礎やデザインソフトの演習を経て、3 年生からゼミに入り、少しずつ専攻を決めていきました。
私は認知心理学とデザインの関連性を講義を受けて「おもしろい!」と感じ、インターフェースデザインやUX デザインなど、カタチのないものをデザインすることに興味を持ちました。
就活でもUI/UXデザイナーとして活躍できる会社を希望し、縁あって今の会社でもユーザーのサービス体験やサイトの設計などに携わるお仕事をさせていただいてます。

田島:認知心理学ですか。しっかり学んだことはありませんが、Webサイトの設計などにおけるUI デザインの面白さは共感できます。例えばそういった知識や考え方が、組織で働く中でも役立ったりすることはありますか?
平井:そういう考え方を持つことは、産業デザインや情報デザインなどの分野に携わる上でとても大切だと思います。
ウェブやアプリのデザインを考える上でも、「ここはリンクだからリンクとわかるインタラクションにしよう」、「エラーの時は赤色で注意を引かせよう」など、ユーザーにとって使いやすく、わかりやすいデザインにすることを意識して、日々の業務に取り組んでいます。

田島:デザインにおいては使いやすく、わかりやすいが大切ですね。大学の話に戻るんですけど、 美大の特徴ってなんだと思いますか?
平井:「うつつを抜かしても許される」とかですかね。今まで何となく悶々とした想いをしながら過ごしてきた人は、美大に入るとのびのびと過ごせるかもしれないですね。

田島:それぞれのやりたいことに熱中できるんですね。平井さん自身その環境に救われたりしたんですか?
平井:「いつも頑張る」とか「テスト前だから頑張る」みたいな、努力のタイミングを強要されるのが受験生までは辛かったのですが、大学に入ってからは「頑張りたいときに頑張りたいことを頑張る」でもやっていけるのが救われました。

田島:美術の道に進もうと決めてから、予備校や美大で感じる居心地の良さの理由なのかもしれないですね。そのあたりを意識して有意義に時間を使えるといいですよね。それでは最後に、これから入試を控えている受験生にコメントをお願いいたします。
平井:実技の練習と学科の勉強で日々の行動がルーティン化して、モチベーションが下がっている時は、美術館へ行ったり、第一志望の大学に見学へいったりして気分転換をしていました。長期休暇の期間を活かして、家と予備校への往復だけでなく、色々な場所に行ってみることで視野も広がって新鮮な気持ちで課題に取り組めるかなと思います。
暑い日々が続きますが、お身体に気をつけて、夏期講習頑張ってください。
田島:この度は本当にありがとうございました。