特集 それぞれの立美祭展

 10/1に行われた「第36回立美祭展」。受験勉強と違った自由制作は、受験生にとってどのような経験になるのでしょうか。
 デザイン・工芸科の生徒を取り上げました。デザイン・工芸科は一人ひとり将来考えている分野が多様で、それが自由制作に表れます。アクセサリーが好きな人はオリジナルコンセプトのアクセサリーを創案し、車やバイクが好きな人はオリジナルデザインの車の一部分を実物大で作り上げました。好きなものだから、こだわりを持ってつきつめられる。そのこだわり抜いた経験が今後の制作に生きていきます。
 立美祭展での自由制作はそれぞれの趣味や普段考えていることがよく見えるので、その人のことを知ることができ、交流も増える良い機会です。今後、多くの人と関わっていく中でも、自分の好きなことをさらけ出すということを忘れないで欲しいです。そうして自分を主張していくべきクリエイティブな分野で、大いに活躍できる人材への道として繋がるといいですね。(田島)

「KASUGA」
デザイン・工芸科 昼間部 春日 良太

 僕は国産、外国産を問わず、クラシックカーが好きです。普段からクラシックカーのイラストを描いていたりして、立体作品も作ってみたいと思っていたので、この機会に制作しました。
 この作品は1950年代のアメリカ車をイメージしたもので、ペイントも当時から現代まで流行っているスタイルを再現しました。

「LIFES」
デザイン・工芸科 昼間部 鈴木 芽乃花

 タチビ祭で何をしようか考えたとき、とにかく、見た人がわくわくするものが作りたいと思いました。私の考える「わくわく」は、次に起こることが、その人の中の「当たり前」から外れることです。
 もし、自分の性別が反対だったら。もし、自分が今小学生だったら。もし、今までやらなかったことを実行したら。きっと、周りの見る目も、自分の見方も、次に起こることも、今の当たり前の中から大きく外れると思います。それをシミュレーションできるものがあったら、それはもうわくわくすること間違いないと思い、今回の作品を制作することに決めました。
 展示を終え、票を頂いた方々の感想を見ると、本当にこのゲームがあったら、こんなことがしたい。と書いてあるものが何枚かありました。その人たちは、私の作品に思いを馳せ、きっとわくわくしてくれたのではないかと思います。私はそれがすごくすごく嬉しいです。

「実態」
デザイン・工芸科 昼間部 平井 豪

制作内容
コンセプトとしては“実態”。
約6000本の結束バンドを用いてその言葉のとおり人間の本当のありさまを表現しました。

制作意図
 なぜ結束バンドで表現したいと思ったのは結束バンド1つでは役に立たない。結束バンドに対して対象となるものがあることによって初めて役に立つ。そう考えると人間にも同じことがいえる。なぜなら人間とはただ1人ではなく対象の“モノ”“人”がいないと何もできないからだ。そう考え結束バンド一本一本をモノや人にたとえ選んだ。
 そして“実態”というのは、本当のありさまだ。人間は“誰しもが見せず秘めている黒いもの”というのが存在する。

「COLORFUL」
デザイン・工芸科 昼間部 小林 桃佳

 私はアクセサリーを身に付けて楽しむだけではなく、別の視点でも楽しむことが出来る見せ方を考えました。
 そこで、お店で売られているアクセサリーを眺めている時のワクワク感を思い出し、視覚で楽しむという所に着眼してみようと思いました。普段、私はアクセサリーケースにしまっていることが多いのですが、インテリアとして飾れたら楽しいのではないだろうか!!そんな発想から、この作品は出来上がりました。
 また、見る人にもワクワク感を感じてもらえるように、ポップでカラフルというテーマを掲げました。このテーマを選んだからこそ、自分のやりたいことを最後まで突き通せたのだと思うし、何より楽しく制作が出来たので、充実した立美祭になりました。
 今後も試行錯誤をしながら、自分だけのスタイルを見つけて色々なアクセサリーを作り続けていきたいです。

「自己開示」
デザイン・工芸科 昼間部 加藤 慎平

 「予備校でも文化祭みたいなのがある。」去年、部活動中に聞いたタチビ祭の事。あの時、自分が参加するとは思いもしなかった。

 1年後、2017年、浪人生の夏。自分を見失いつつある気がしていた。F150号サイズでデカい自分の顔を作ってそこで生活したい。夏期講習中毎日考えて絞り出した案がコレ。上辺だけの適当な文とイラストを添えて企画書を作り、制作期間に入ると取り敢えずどうやって形にするかを考えた。パソコン、モニター、アコギ、その他ゴミ。好きな物を色々持って来ては触って遊んだ。

 2週間が経った。顔をつくるはずが全く顔に見えて来ない。制作意図も詰まらない。やるせなさが募る。そんな時、先生に泣きついて貰った一言。「自分の為にデザインすれば良い。」電撃が走るとはこの事か。家に帰り大急ぎでMacの電源を入れた。フォトショでF150号のキャンバスをつくり一晩中必死に画像素材をコラージュした。全部印刷して講評台に配置した。自分の顔に見えてきた。作り方も素材も全部分かっている物で異様に感動した。自分の為のデザインだ。それからは好きなものを持って来て意味を与え続けた。

 タチビ祭当日。芸大パネルに埋め込んだカメラから出力されるリアルタイム映像が怪しく揺れ動いていた。自分の作品に座りポカンとしていた。自分の為に作り過ぎたからか離れるのが幾らか怖かった。見てくれた人には必死に話しかけた。無理矢理写真を撮らせたりもしてしまった。面白いと言ってくれる人がいた。色々な科の人とも話せた。こんな所に住みたいと言ってくれる人もいた。ただただ嬉しかった。久しぶりに味わった世界観の共有だった。自己開示の意味が少し分かった気がした。

 あと数ヶ月で初めての美大受験が来る。怖くて堪らないけど、タチビ祭で味わった感動は上辺ではないはず。ぶつけようと思う。