ACHIEVEMENT 合格実績

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合格者の声

加藤静流さん

東京・都立立川高等学校

  • 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 現役合格
  • 武蔵野美術大学 デザイン情報学科 現役合格
  • 多摩美術大学 グラフィックデザイン学科 現役合格
  • 多摩美術大学 情報デザイン学科 現役合格

色々な事を知り、考えた1年

私が立美に入ったのは高校3年生の4月でした。1年生からそれまでずっと理系の大学に進学する気でいました。しかし、ふと大学4年間と将来したい仕事を考えたとき美大でデザインを学べたら楽しいだろうなと思い美大進学を決めました。
私が立美に入った4月は丁度新型コロナウイルスによる自粛が始まった頃で、1ヶ月ほどは課題の制作は自宅で行なっていました。その間、予備校に3年生から入るのは周りから凄く出遅れているのではないかという焦りと、絵を描けるという楽しさで、平面構成が何かも分からないまま、周りがどんなのを描いているのか分からないまま毎日描くことは決めていました。立美に通っての制作が始まっても、毎日ひたすらに通って描くことは受験生活の中で一貫していました。
夏期講習会くらいまで私は、今取り組んでいる課題がどこの大学の入試課題として出てくるものなのかさえ正直把握できていないほど無知で、でも毎課題新鮮でどんな絵にしようか考えて楽しく取り組んでいました。しかし受験生としてより楽しく過ごせるようになったのは課題のこと、自分のことを深く知るようになってからでした。その支えになったのは立美の友人や先生です。
受験が近づくにつれ「自分らしい表現」という言葉をよく言われるようになりました。周りが自分らしい大事にしていくことを見つけていく中で、私は自分らしさをずっと理解できずにいました。過去の先輩方の体験談を読んでもどこかで自分のしたいことを分かっていて、今までの制作でも一貫した考えを持てていなかった私は落ち込み、制作が嫌になってしまうことが増えました。そんな時立美の先生は、私が課題に対してのとっかかりを見つけられるまで一緒になって考えてくれたり、先生の受験時代の話をしてくれました。その中で、褒められたことや自分の好きなものを作品ににつなげていくことができるようになり、ただ絵を描くのが楽しいだけでなく自分の好きな絵が描けるようになりました。またずっと苦手だった課題も、それが得意な友人にどんな思考の流れで描いているか聞き参考にすることで克服していけました。自分1人ではどうしようにもできなかった問題を乗り越えて成長していけたのは立美の人のアットホームさがあってこそでした。色々な人に沢山頼っていいと思います。立美では好きなもの、苦手なこと、自分についてたくさん向き合うことができました。大学でまた新しいスタートを切れるのは立美のおかげです。たった1年間とは思えないほどの経験ができて立美に感謝しています。

いつもの立美を想像して

受験当日は例年とは少し変わった課題がでて驚きましたが、いつもの立美と同じように自分の好きな絵が描けるように、好きな色・褒められて嬉しかったところ・好きな画面・指摘されたところを意識しながら楽しく取り組みました。立美の課題で出たらみんなでどうするかどうするかってワヤワヤ話すんだろうな、友達のあの表現でどう答えるんだろう、前の人の絵かっこいいな等と考えていたら安心できて、いつもの立美と同じ緊張感で描けました。

O.Kさん

東京・都立上水高等学校

  • 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 合格
  • 多摩美術大学 グラフィックデザイン学科 合格
  • 多摩美術大学 統合デザイン学科 合格

あたたかい予備校

私は現役のとき、受験した私大すべてに落ちました。不合格の文字を見た時とてもショックでしたが、本当に心から悔しいと思えるほど努力して来なかった自分がいて、そのことに心底腹が立ちました。これから絶対上手くなってやるという気合いに満ち溢れながら浪人生になりました。
浪人して最初の頃はただただ予備校で作品を作ることが楽しくて、毎日今日はどんな課題かな?とわくわくしていました。ノートに小さく作品のスケッチをして、講評をまとめたノートは、ちっちゃい作品ファイルみたいでお気に入りでした。
私はタチビのきれいな光と暖かい雰囲気の中で作品を描くのが好きでした。しかし夏が過ぎた頃から作品を作るのが楽しいと思えなくなっていきました。どんどん上達していく周りと自分を比べて焦りを感じるようになり、気持ちが萎縮していきました。そんな時、ある講評で先生が並んだ作品を見て、どれも全然違うタイプの絵だけどどれも良いねと言って下さいました。また先生はいつも、毎回毎回モチーフを前にして感動して欲しい、美しい光を感じて欲しいといっていました。私はその言葉を聞いて、周りを気にすることもモチーフをさらーっと受け流すこともせず、モチーフ、そして自分の絵としっかり向き合うことを大切にしようと思いました。それから私は制作の前に、ふわぁぁ…と柔らかい光を受けるモチーフをきれいだなあ、とうっとりしながら観察する時間をまず設けるようになりました。また、その日作った作品の写真を電車やお風呂、寝る前にじっと見つめて、どうしたら良くなるのか毎日考えていました。一日制作の課題が続く中、二日間じっくりデッサンが出来た正月デッサンも、私にとって成長する良い機会となりました。
先生方は、焦ったり不安になったりとぐでぐでの私に親身になって指導してくれました。私の作品の長所を見つけてくれたり、作品に加筆しながら教えてくれたり、私の作品の癖や共通点を気づかせてくれたり…先生方はいつも様々な角度から気づきを与えてくれて、私が成長する機会をつくってくれました。
浪人生として過ごした1年間で培った考え方や自信は、大学生活やその先の人生で私の揺るがない土台となると思います。二年間の受験生活は苦しいことも沢山ありましたが、先生方や仲間に支えられて乗り越えることが出来ました。タチビには本当に本当に感謝しています。ありがとうございました。

どきどきの入試

視デの試験当日、会場に入って今からこれを描くのかと思いわくわくしました。まだ人がたくさん入って来ないうちにめちゃくちゃ近くでモチーフを観察しまくりました 笑
もうやれることはしたのでどんな結果になっても悔いは残らないと思っていました。
試験中焦ったり不安になることもありましたが、自分が受験生の中で一番綺麗な光と空気を描くんだ!!!とめちゃくちゃ強気なことを自分自身に言い聞かせながら描ききりました。

S.Kさん

東京・都立府中西高等学校

  • 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 合格
  • 多摩美術大学 グラフィックデザイン学科 合格
  • 多摩美術大学 統合デザイン学科 合格

限界突破

私は高校三年生の春からタチビに通い、二浪して大学に入りました。浪人と聞くと悪いイメージがあるかもしれませんが、私はむしろ浪人してよかったと思っています。というより、美大は浪人してナンボ、浪人期間のない美大受験は美大受験とは言えない、そう思っています。これは主観なしにはっきり言えます。なぜなら、私は浪人期間で人格が大きく変わり、物事の見え方が根本的に変わったからです。一般的に大人になるにつれ人格は変わりづらくなるものですが、この年齢で変えることができたのはとてもラッキーだと思います。私は元々高校三年生の春まで一般大に進学しようと思っていましたが、同じ高校の友達の誘いでタチビに通うことになりました。今考えると、一般大にそのままいっていたらとてつもなくしょうもない人間になっていたと思います。そのぐらい私にとっては大事な分岐点だったのです。 
タチビでの生活は、現役生の時が人生で一番楽しく、一浪の時はとても辛く、二浪の時は辛さの底が見えました。私は現役生の時は常に下段(講評での上位分け)でしたが、一浪の時から基本的に上段にあげてもらうようになりました。毎日通って真面目に課題をこなし、家で自主練もしていたので、心のどこかで一浪すれば受かるだろうと思っていました。そしてあっさり落ちました。しかし、それ以上に衝撃的なことがありました。その年、二浪していた先輩も落ちていたのです。その時初めて浪人したからって受かるわけではないんだとはっきりと理解しました。そして自分の努力は人並みであることにも気付きました。
二浪の時からは心を殺して時間を全て受験に注ぎました。予備校の人たちとは慣れ合わず、親友とも連絡を断ち、家でも部屋に篭り、黙々と受験のことだけを授業外でも常に考えていました。参作の写真は数万枚集めました。受験作品だけではなく、油画、日本画、グラフィックデザイン、イラスト、意図せず映り込んでいる絵、その他使えそうなものは貪欲にチェックしていました。神経をキンキンに削り続け、毎日受験の夢を見たり、泣きたいほど辛くても涙がでなかったり、喋らなさすぎて口が回らなくなったり、周りのライバルにはっきりとした殺意をもって制作していたり、人間としての限界を見ました。人生でここまで何かに打ち込んだのは初めてで、この道に進んで本当に良かったと思います。人として壊れてしまいそうなぐらい自分を追い込んで何かを成し遂げた経験は今後の財産です。
作品のことだけではなく、人として話をしてくれるのがタチビの良さです。長い間お世話になりました。ありがとうございました。

いつも通りに

二浪目の試験が一番緊張しました。しかしその分、自分を含め周りがよく見えていたので、作品を一歩引いた目線で捉えることができました。試験本番は肩に力が入りすぎてついつい視野が狭くなりがちですが、とにかく俯瞰することです。俯瞰すればなんとかなります。試験本番で新しいことはしない、いつも通りに、自分ができることを油断せず全力で、そう心がけていました。

田口蒼葉さん

東京・都立翔陽高等学校

  • 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 現役合格
  • 武蔵野美術大学 基礎デザイン学科 現役合格
  • 多摩美術大学 グラフィックデザイン学科 現役合格
  • 多摩美術大学 統合デザイン学科 現役合格

?をどんどん潰していく

私が立美に通い始めたのは高校2年生の秋頃でした。部活が忙しく、基礎科にいた頃は週一回のコースでした。冬期講習の際にデザイン科に来てそれからすぐにデザイン科に入りました。講評のときに基礎科と大きくレベルが違っていたので不安になったのを覚えています。
高3に上がるにあたってコロナの影響で授業がなくなり、気持ち的にもふわふわした状態がしばらく続きました。この時期に学科をちゃんとしておいて良かったと思っています。実技はどんなにやっても当日に近づくに従って不安になるので学科をきちんと進めておくことは重要です。
私は大雑把な性格で、一度構図を決めたらガリガリ描いていってしまう癖があり、良くいえば元気な絵なのですがデッサンだと構図が狂っていたり平面構成や立体構成だと見づらくなってしまいがちでした。「自分の言いたいことを伝える」ということがデザイン科には大切だと先生に言われ、受験本番までその意識について考えました。自分の言いたいことを決めると、作業の順番をつけやすくなり、画面が見違えるほど見やすくなります。時間も有意義に使うことが出来るので、自分のキャパシティを認識できます。完成して見える作品を出すことが前提な受験において、最も重要なことだと思います。
秋になった頃、受験に本腰を入れてくる時期になり私は上手に描かなきゃという意識で作品を作るようになっていました。それまであった楽しむという意識が飛んでいて焦りが強かったです。緊張感を持つのは大切ですが、楽しむという意識の中には観察するという要素も含まれています。それはデザイン科には忘れてはいけないものでした。楽しんで描かないと辛いし、自信が無い絵は見る人にすぐ伝わります。新鮮な気持ちは現役生の強みだとなのでなるべく忘れないようにした方がいいと思います。
もう1つ受験生活で悩んだことは、自分にこだわりが無いことでした。周りの人達が好きな作品、世界観がある中で私はまだそれがわからず、なんとなく好きかな?というものしかなく自分にしか出来ない事を探すことにとても苦労しました。自分の好きな配色だけは持っていたのでそこから画像検索アプリで検索し、色んな傾向を見て自分が気に入ったものをインプットしていきました。綺麗にまとめることだけを考えるのではなく、自分のスタイルを持っている人の方が確実に強いです。
立美は生徒同士や先生との距離が近く私が悩んでいると一緒になって考えてくれます、本当に感謝しています。ほかの予備校にはない点だと私は思っています。

基礎を大切に

試験当日、どこの学科も傾向がいつもと変わっていて正直面食らいました。でもここで?となったら絶対負ける!!と思い周りを置いていくつもりで描きました。自分にしか出来ない絵を入試直前ずっと考えていたので、試験で変な課題が出たとしてもそれを押し切ることが大切です。立美では芸大課題を主にやりますが必ず私大に繋がる基礎になっています。基礎を忘れないようにすれば自信を持って描くことが出来ると思います。

内田初さん

神奈川・私立シュタイナー学園高等学校

  • 多摩美術大学 統合デザイン学科 合格

楽しんだ者勝ち

もともと絵を描くことが好きだった私は、少しの不安と楽しみが混じった気持ちで高校3年の夏に入学しました。皆の描く絵のレベルの高さ、7時間弱続く集中力に圧倒され、美大受験の過酷さを痛感しましたが、今までのように好きな時間に好きなように描くのではなく、決められた時間の中で課題に沿って作品作りをすることがとても心地よかったです。
現役生の頃は高校がとても忙しく、直前講習なども受講できないでいたのですが、先生方には自宅で制作した作品や、趣味で描いているイラストを見て貰うなど、授業以外でも面倒を見て頂いていました。中々友達のできない私を気づかって下さったときはとても心強かったです。(笑)。
浪人生になってからは、長時間集中できる環境、少人数の落ち着いた雰囲気のお陰で毎日が楽しく、発見で溢れていました。石膏デッサンは1枚1枚描いていく中で、落ちる影とそこに存在する陰の違い、鉛筆の使い方、その日の湿度で紙の様子が違うことなど、毎日何かしらの発見があり、些細な気付き一つ一つを大切にしました。平面構成では自分の趣味趣向が明らかになってく様子など、少しづつではあるものの、自分が成長して行くのが分かりました。以前は理解できなかった先生のアドバイスもすんなり理解できるようになり、毎日がとても充実していました。「二浪は許されない」というプレッシャーに押し潰されそうになる時も、いつも課題に向かえば気分はスッキリでしたし、デッサンも平面構成も一度も「もうやりたくない」、と思ったことは無くむしろ毎日の精神安定剤で、受験が終わった今ではデッサンをしない毎日が物足りなく感じます。
秋頃には徐々に自分の作品が上段に上がるようになり、上り調子の私は毎日ルンルンでした。浪人生こんなに楽しくていいのだろうか、と思う程毎日が充実していて、昼間部で出来た楽しい仲間たちと一緒に少しづつ確実に実力の階段を登っていくような感覚だったのを覚えています。
直前講習に差し掛かる頃には思い通りに行かず辛いことも沢山ありましたが、私のタチビでの約一年半はとっても、信じられないくらい充実していて、楽しかったです。少人数だからこその皆との距離感も素敵で、先生が下の名前で読んでくれたり、可愛くてお洒落な先輩が似顔絵を描いてくれたり。とっても温かいタチビを離れるのはとても寂しいですが、大学生活でもタチビで培った感覚を大いに発揮出来ればと思っています。本当に楽しかったタチビ生活。受験期、楽しんだ者勝ちだと思います。

「いつも通り」が仇に…?

入試の時の私は正直絶不調でした。何としてでも合格しなければ、というプレッシャーに潰されないよう、「いつも通り」を心掛けたのですが、それが仇になったようです。精神的にもギリギリの状況でしたが、それでもタチビに帰れば先生方が元気をくれ、何とか乗り切ることができました。結果は思い通りとは行きませんでしたが、進学する予定の学部の先輩方や同級生がとても温かく、入学する前からワクワクしていました。

梅宮青さん

東京・都立富士森高等学校

  • 多摩美術大学 生産デザイン学科テキスタイル専攻 合格
  • 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 合格

変化の年

私は現役の時、質問することをほとんどしていませんでした。自分の全てを否定してしまっていました。だから、私が浪人を決めた時、不安が大きく、何から手をつけていいかわからない状態でした。しかし、昼間部の先生と面談をして、考え方が変わりました。「頼っていいんだ」って。こんなに一人一人のことを考えて、一緒に理解しようとしてくれる先生に出逢えたのは、初めてでした。私はそれから、考えすぎると進めなくなることに気づき、良いところも、悪いところも、自分が疑問に思うことは、全て先生に質問しに行くようにしました。否定することも、やめました。その場では理解できないことも、勿論沢山ありました。しかし、毎日メモを取っては、読み返して、そこで気づいたことを書き足し、作品に反映して、また質問して、を繰り返しました。どんな些細なことでも、すごく基礎的なことも全部、質問をしました。また、自分は出来ないということを認めました。変なプライドを捨てました。出来ないなら出来ないなりに、今できることをやろうと思いました。そしたら、見える世界が広くなり、自分の作りたい作品像が見えてくるようになりました。立美祭では、そんな自分のやりたいことを全部詰め込んで作品を作ってみようと思い、興味のあるものを組み合わせてオリジナルの着物をつくり、大賞まで取ることができました。
私は、ここでやっと、しっかり何かをつかむことができた気がします。自分のやりたいことを自分のやりたいように伝える。たとえそれがどのような形であれ、自分が満足いくまで作品と向き合う。私が常に意識するべきことはこれだと、体感することが出来ました。
とても貴重な経験を、することが出来ました。
私が、これから受験する皆さんに伝えたいことは、「ありのままの自分と向き合って欲しい」ということです。最初の頃の私には、よく見られたいとか、完璧にやらないとなど、自分を偽る気持ちがありました。しかし、それをなくし、ありのままの自分と向き合うことで、気持ちが軽くなり、良い作品を描けるようになりました。これは私がこうであっただけで、違う人も勿論いると思います。例えば、本当は車が好きだとか、お花がすきだとか、そういう好きという気持ちをすててしまい、受験ぽい絵を描こうとする人がいたとします、それってものすごく、勿体無いことなんだと私は気付きました。だから皆さんには、ありのままの自分と向き合い、自分らしくあって欲しいと思います。最初は人の真似でもいい、でも、そこから自分って何をやりたいんだろうと、俯瞰的に一度見つめ直してみて欲しいと思います。応援しています!

リラックス

私が受験したテキスタイル学科は、毎年、デッサンで花が出ていました。しかし、教室に入ってみると今年は花ではなく、葉っぱがたくさんついた、枝のような茎のようなもので、ぱっと見では、何かわからなかったです。(あとでユーカリと判明しました。)思わず自分の心の中で、花じゃないんかい。と思ったことを今でも覚えています笑。しかも、席を探すと、1番前の一番端で周りの状況が一切わからない席でした。目の前には試験監督がいてさらに焦りが増す一方。でも、試験直前に「梅宮は、いつも通りやれば大丈夫」と言っていただいたことを思い出し、「リラックス」と自分に言い聞かせてからは、自然と手が進みいつも通りの作品を書くことが出来ました。平面構成は、時間をかけて準備していたこともあって、前日に色を決めて、余裕を持って作品を仕上げることが出来ました。周りから聞こえてくる音が、気になってしまう状況に置かれても、いつも通りやれば絶対にできると、自分を信じていたことが、上手く出来た理由だと思います。

タチビでの夏期講習

タチビでの夏期講習はあっという間でした。
毎日のように出される課題に、一生懸命食らいついているうちに、何をやればいいのか、手が全く動かなくなったことが、沢山ありました。
私はテキスタイルを第一志望にしていたので、どうしても「受験テキスタイルっぽさ」をどこかで意識してしまって、自分が本来描きたい作品を描くことができていませんでした。
でも、先生方に個別に作品を見ていただいたり、何度も自分の作品を見返しているうちに、それは結局誰かの真似になっていると気づくことができ、少しずつ基本を押さえながら自分の作品を描けるようになっていきました。私が伝えたいことは、とにかく気になったら、どんな小さなことでも先生方に聞きにいく、ということです。講評で言われたことを、次そのままやるのではなく、自分はもっとこうやりたい!という気持ちを大切にして、それを先生に伝えてみて欲しいです。
そうしたら何倍も、何十倍も上手くなれます!

兵頭歩武さん

東京・都立国分寺高等学校

  • 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 現役合格
  • 武蔵野美術大学 デザイン情報学科 現役合格
  • 多摩美術大学 グラフィックデザイン学科 現役合格
  • 多摩美術大学 情報デザイン学科 現役合格

タチビに通う毎日

自分は、高校3年の時の5月ごろののコロナ自粛期間中に、美大進学を決めました。先輩のすすめもあって、家からも近かったタチビに6月から通うようになって、そこから本格的に美大受験をはじめました。自分の学校は、部活も勉強も行事もすべて力を入れて行うので、はじめは続けてタチビに行けない日が多く、内心では、とても焦っていました。ただ、まだまだ伸びしろしかないと、ポジティブに考え、やるしかないと自分に言い聞かせました。部活を引退してからは受験モードに切り替え、毎週出るホームワーク課題や、自主練を勉強と両立させながらとにかく頑張りました。わからないことがあれば先生にすぐに聞いたり、全体講評のあとも先生方に細かくアドバイスをもらいに行ったり、自分のなかでライバルを勝手に見つけ、内心ではめちゃめちゃ競ってました。(笑)
毎日タチビに通い、受験が近づくにつれて自分の成長を感じるようになりましたが、数をあまりこなせていない平面が、伸び悩むようになりました。ピンタレストで、色々な人の平面構成を見てみるも、なにが良くてなにが悪いのかもよく分からなくなり、迷走期がありました。ところがある日、先生から、「自分の“好き”を表現したら?」と言われ、そこからは、他人の平面構成だけでなく、絵画やイラストやポスターなどを色々見て、自分の好きな表現で、やってて楽しく、自分の家に飾りたくなるような平面を作ろうと思うようになりました。
そのおかげで、段々平面で上段をとれるようになり、モチベーションも上がっていきました。タチビに通っているうちに、友達や先生とのプライベートな会話が増えて(先生に勝手にあだ名をつけたりもして笑)制作時間以外の楽しめる時間が多くなって、そこからまた頑張ろうと思えるようになりました。今思えば、同じ目標をもつ仲間や、面倒見の良い先生方のおかげで、受験を楽しめたと思います。先生方、仲間、そして急な進路変更にも関わらず毎日サポートしてくれた両親には本当に感謝しています。これからも、タチビでの経験を生かして頑張りたいです。

入試当日、なぜか笑けてくる

入試当日は、正直あまり緊張していなかったので、逆に心配でした。ただ、もう今さらなにを考えようとなにも変わらないなーと思って、ただただその課題を楽しむことにしました。不思議なことに受験の雰囲気を楽しいものと思ってしまえば、周りに金髪だのサムライヘアーだのいろんな人がいて、それぞれその人だけの作品をつくってる状況そのものがおもしろく感じて、特に芸大二次試験がとても楽しかったです。人は、すべての物事を肯定的に捉えるのは無理だと思うけど、自分の中でポジティブにとらえ直すことはできると思います。美術を楽しむことの大切さを受験生活を通して学び、入試まで楽しむことができました。

丸山咲さん 

東京都立国立高等学校

  • 多摩美術大学 日本画科現役合格
  • 武蔵野美術大学 日本画科現役合格

私が立美に入ったのは、高校2年生の途中でした。当初基礎科に在籍していた頃から、日本画の先生方がまったくの未経験だった私に一から優しく教えてくれました。
3年生になって日本画科に進んでからも、先生方は私の絵の良いところや足りないところを一緒に親身になって考えて、時にはお手本を描いてくれたり時間が過ぎた後も相談に乗ってくれたりしました。立美は生徒の人数が多くない分、先生方の指導がとても手厚くきめ細やかで、他にはない立美の良さだと思います。そして、少人数なので一人一人に柔軟に対応したスケジュールを組むことができとても有難かったです。
また、立美では参考作品や浪人生との距離も近く、上手な作品を間近で見る機会に恵まれていたことも合格に繋がったのだと思います。
受験は辛く、絵を描くことが嫌いになってしまうこともあると思います。でも立美の先生方は受験の為だけではなく、純粋な絵の楽しさを教えてくれました。
立美に入って良かったです。本当にありがとうございました。

わたなべきり さん

あっという間の二年間

私が立美に二年間在籍していましたが、振り返ると本当にあっという間だったなと思います。初めは基礎科で時間をかけてデッサンをしていましたが、最初の年の夏季講習からデザイン学科に移動しました。立美に通い始めた時から、自分はデザイン学科に興味があるなと思っていたのですが、デッサンをはじめて描いてから間も無く、鉛筆の使い方にもなかなか慣れていない状態で受験生の先輩方と同じ環境で通い続ける自信がなかったのでいつから移動するかとても悩んでいました。おもいきって夏季講習でデザイン科のカリキュラムを体験したあとに、先生にデザイン科に移動するタイミングを相談したところ、やりたいことが決まっているなら早めに移動した方がいいと思うよと言われました。上手くやっていける自信がないことも伝えましたが、先輩達だってみんな自信があるわけじゃないと思うよという言葉で、自分もデザイン科で頑張ってみようと思うことができました。今年はコロナの影響で、一学期の前半が教室で課題をこなせないような状況にもなっていたので、今思うと二年生の一年間を基礎科で過ごして、三年の四月からデザイン科に移動するよりも半年早くデザイン科に移動できたのは、本当によかったなと思います。

デザイン科では平面構成にかなり苦しみました。自分一人で悩み続けていても解決できないと気づいてから、受験直前の課題では一枚描くごとにできるだけいろんな先生に相談にいくようにしました。どの先生も、どれだけうまくいかなかった平面でも、どこか一ついいところを見つけて教えてくださったので、それを自分の武器にできるように参考にして一枚いちまい描くように心がけました。

受験ギリギリになってもなかなか手応えを感じられず、焦る気持ちもありましたが、いつでも相談に乗ってくれる先生方や一緒に成長しあえる友達と出会えたことや、立美の明るい雰囲気が受験直前になっても変わらなかったことが支えになって、受験を乗り越えることができたのだと思います。

落ち着いて制作する

試験当日は普段と違う環境で制作をすることになるので、とにかく落ち着いて制作するように心がけました。周りの人の制作ペースや、画面につられずにいつも通りやるぞ!という心持ち以外は普段の立美での制作となにも変わらなかったと思います。統合デザインの課題は、直前の対策で先生に色を褒めてもらったので、そのままの色味を本番も使って構成しました。

フ さん

立美での受験生活編
自分と立美の約8年間

自分は物心ついた頃から車が好きで、年長のころにはいつか自分で車を作ってみたいと思うようになり、カーデザイナーを目指そうと決めていました。また、並行して絵も好きだったのと、カーデザイナーになるためには美大へ行くのが近道だと言うので、自分が住む近くのアトリエを探して、立美に出会いました。

絵の道を進もうと思ったのが早かったので、自分は早くから立美に通っていました。小学4年生でジュニアクラス、中学受験による中断を一年ほど挟んで中学一年生で基礎科に入り、高校2年生から最後までデザイン科にいました。合計で8年ほど立美に通っていたことになります。これだけ長い間通った生徒は稀だと思います(笑)

これだけ長く通っていたのだから、絵の出来栄えは常にトップクラスなのだろうと思うかもしれませんが、実際は長らく全くの逆でした。

まず、中一で基礎科に入ったのが茨の道の始まりでした。最初の授業に参加すると、自分はまだほぼ小学生の中一なりたてなのに、周りはみんな高校2年生で、一言も喋らずに黙々と絵を描いていて、自分は先輩たちに気圧され、圧倒されてしまいました。もちろん講評でもボロ負け。何枚か書くうちに、自分は間違ったところにきてしまったのではないかと感じ始めて、また、今まで自分の絵を批評されたことがなかった自分は講評の日にサボる、講評から逃げ始めるようになってしまいました。先生たちはとても優しく、自分の絵にはほぼ褒め言葉しか使わなかったのですが、周りに並べられた先輩たちの作品との差は歴然で、当時の自分にはそれがきつかったのです。そうやって、講評から逃げていれば自分の絵がダメだってことから目を逸らせられていたから。この頃自分は、自分の作品を見るのが怖くなっていました。

でもまだ時間はあるんだから、サボりながらでも美大には合格できるだろうと思っていましたが、中二、中三、高一になっても周りとの差は縮まらずだんだん焦りが出てきました。講評をサボっていたのですから当然です。しかもこの頃になると、何年もやっているのに下手、という考えが出てきて、年数、経験がアドバンテージではなく足枷になり、自分は追い詰められていきました。

それでも、自分にはこの道しかなかったのです。小さな頃、神社に行くたびに願って、短冊に描いた夢を叶えるには、自分の絵と、自分の現実としっかり向き合わなくてはいけないと決心しました。講評をしっかり聞き、一枚一枚全力で描くという当たり前のことをしっかりやり遂げると決め、それを受験まで続けたことが、現役合格に繋がったのだと思います。

念のため、自分は中一で基礎科に入ったことを後悔しているわけではありません。むしろ、みんなと同じように高二高三で入っていたら自分は4浪ほどしていたと思います。それほど基礎科で学んだデッサンの基本は文字通りそれからの基礎になり結果的には合格につながったと感じています。

入試編

入試本番では、不思議とほぼ全く緊張しませんでした、ムサビの試験では自由に立ち歩けるので意識して立って周りの作品を見まくりました。すると本番前に思っていたより他の人の作品は正直言ってなんてことないのです。そう感じると自分はとたんに調子に乗って(これは特にデザイン科としては危険ですが)、とても楽しく制作できました。自分は、苦しい時も中一からずっと、自分は最後はどうにかなると信じていて、そうして自分がやってきたことを本番でも曲げずにやり遂げたことが合格に繋がったと感じています。

稲田 さん

考える

高2の秋冬くらいから美大を目指すか、それとも一般の大学を目指すかの進路について真剣に考え出して、ネットで調べてみると受験対策は高2からやるのが最低ラインだ、みたいなことがたくさん書かれていて驚きました。私は同じ高校出身の立美出身の先輩と友達づてで連絡をとることができて、そこから立美を知りました。とりあえず高3の春に春期講習に参加し、それから立美に入りました。初めて石膏デッサンを描いているのを見てみんなすごく上手くて、ただすごいなぁ、1年後にはこんな風にデッサンができるのだろうかと想像もできないし、でも絶対浪人はしたくないと思っていたのでとても不安でした。

しかしいざ通い始めてみると、そんなことは忘れて習い事感覚で立美に毎日行っていました。幸か不幸か、私の場合は部活はコロナで引退試合もなく自然引退という形になってしまい部活との両立が大変だなんていうこともなく、文化祭との両立が大変だということもなかったのでひたすら立美での制作をすることができました。夏期講習も昼夜行けるのは2週間しかなかったのでなおさら予備校感より習い事感を感じたのかもしれません。

普通ならここで辛い時期とかスランプとかがあるのかもしれないのですが、私はなぜかびっくりするくらい立美での受験生活が辛くなくて、面倒くさいなあと思ったことはあっても辛すぎてもう嫌だみたいなことはありませんでした。評価が良い時は嬉しい!くらいのテンションでした。

直前期に入ったくらいからやっと先生方から言われてきた講評の言葉が頭に叩き込まれてきて、自分にしかできないことや表現とは一体何なんだろうとずっと考えていました。何をしたとしてももうその表現をやっている人がいるし、アイディアも被るし、自分だけの表現が決まっている人がとても羨ましかったです。参考作品を携帯で漁りまくって訳分からなくなっていた時に、何も奇抜なことしなくていい、普通でいい、今まで自分が体験してきたことから考えればいいと言われたことでだいぶ落ち着くことができました。この言葉があって後の制作が作れたのだと思います。

こんな受験生活生活ができたのは立美がピリピリギスギスしていなくて、先生方もみんなも優しいからなのかなと思います。同じことでも何度もアドバイスして何を意識しなくてはいけないのかを気づかせてもらい、これからにも必要な考え方も学ばせてもらえて良かったです。ありがとうございました。

模試テンションで

試験当日は全く緊張はしていなくて、模試かなくらいのテンションで挑みました。むしろ荷物重いなとか坂急すぎとかそんなことを考えていました。

制作しているときはいつも通りに、もうとにかく今までの立美での経験値をフル活用して制作しました。多摩グラのデッサンの時に右後ろの人と構図が丸かぶりした時はもう本当に衝撃でどうしようかと思ってこれで落ちたくないと思ってすごく頑張りました。

当日に変に緊張しないでいつも通りにできるのがベストなのではないかと思いました。

加藤大雅 さん

果てしない基礎とその発展の先にある道

立美という言葉を聞いてまず先に思い浮かぶのが基礎という言葉です。ここでの授業のほとんどが一見、受験において第一志望を目指すためのものとは思えない内容でした。タマビやムサビの入試課題である手のデッサンや静物デッサンをひたすら練習するのかと思いきや、一年の半分以上は石膏デッサンなどに費やすのです。石膏デッサンは藝大の入試課題です。しかし、立美で授業を受けているときに、藝大合格のためだけに描いていると思ったことは一度もありません。今だから言い切ります。決して無駄な課題ではありません。このような意見も耳にします。「描いていることには変わりないのだからどんな課題でも成長はするだろう。それならば第一志望に初めから特化すればいい」確かにその通りです。ここで大切なことは手段ではなく《目的》です。大学入試を突破することは勿論のことですが、一時的な学びを自らの力へ昇華し、発展させるという目的が立美にはあると思います。実際先生方もおっしゃっています。立美での課題は受験だけでなく、長い人生の中、多々制作をしていく上で必要な土台を築けるものです。そして、応用がききやすいものばかりです。きちんと丁寧に制作と向き合うことができれば、第一志望に特化するよりもより多くのものが手に入ります。デッサン力や発想力、表現力が豊かになっていくのです。勿論、第一志望合格も夢ではありません。

ここで思い出したのが、私が耳にタコができるほど先生方から言われた「基礎」という言葉です。基礎がついたと言われるものの、いまだに基礎がどこまで基礎なのかはわかりません。それだけ基礎とは奥深いものです。すべてを理解するのにどれほどの経験を積めばいいのかさっぱりです。それでも少し基礎を身につけている人、そうでない人とでは天と地の差だと二年の立美生活で痛感させられました。現役時代の私は基礎を甘く見ていました。浪人が決まり、アドバイスを素直に受け入れるようになると急激に成長しましたから言います。本当の意味で先生方がおっしゃるような自分の力をつけることに重きを置いた授業が立美では受けられます。

最後に、立美の良さを一言で言うと「良質な学び」です。大切な事を数多く学べました。

余談ですが、音楽や小説など趣味や暇つぶしにしていたことが制作のヒントとして活用できることがあります。これもまた先生方の奨めですが。

心の余裕は準備で決まる

会場では人が込み合っていました。不安になりつつも、周りの受験生も同じく不安や緊張に駆られているようでしたから「しめしめ、私の力を見せつけてやるぞ」と何度も心の中で復唱して深呼吸をしました。行動面では、水分補給をしてお手洗いに行くと緊張をほぐすことができました。試験会場は冷えると聞いていたので厚着をしていきました。状況に合わせた対策は必須です。試験開始と言われるまでに既にシンプルで見やすく、理解されやすいモノクロの絵を描こうと決めていたので作品はすんなり完成しました。備えあれば患いなしです。

菊池奏美 さん

高校三年生になった春に初めて講習会で訪れたタチビ。

無知のまま石膏を描き始め、初めて自分の作品を見たときに、これから始まる受験期が不安でした。最初は自分の作品を前に並べて公表されるのが恥ずかしくてとても嫌でしたが、元から描く力はある方であることを知り少しだけ自信がもてました。徐々に話せる友達もできて良いライバルと呼べる人もできました。それから何度も壁にぶつかり、乗り越えてはまたぶつかりの繰り返し。うまく自分をコントロールできずに、何度も泣いたり描けなくて悔しかったり、週ごとにスランプがきているようでしたが、同時に自分の作品とも向き合い、「難しい」「わからない」「もう描けない」から「どうすれば良くなるか」「足りないものは何か」と解決法を探し乗り越える力がつきました。

制作の途中で上手くいかなくて嫌になることがあっても放棄せずに、目標を変えて課題を終わらせることでほんの少しだけですが、精神的に強くなれた気もします。

参考作品を見比べては共通点を探し、合格の決め手となったポイントを自分ができる技量で作品を生み出し、出される課題によって何を求められているのかを考えたり、工芸科で求められる力を考察して、先生や知り合いの工芸科の方などに助言をもらいながら日々、着々と”私の作品”を生み出してきました。

そして、私が受験期で大事だと思ったのは自分を知ることとコミュニケーションです。現役の頃、私の代の生徒はみんなフレンドリーで仲が良く、お互いに尊敬しながら成長できた関係でした。タチビの先生達はよく私達を見てくれています。ちゃんと知ってくれています。一人で抱え込まずに吐き出した方が自分の為になったことがたくさんあり、わからないまま続けるより、いろんな人の意見やアドバイスを聞いた方が自分には有利になります。不安になっている時こそ「自分」に向き合っている時だと思って辛抱すれば、確実に成長を感じる時がきます。また、コミュニケーションをとることによって人の輪が広がり、情報を得ることができます。

現役のときも浪人のときも、人に助けられながらひとつひとつ乗り越えて成長できました。自ら動くことが成長と達成に繋がる大事なことだと、私は思います。

通いやすいという理由で選んだ予備校ですが、タチビのアットホームな落ち着ける空間が私にとっては救いでした。

辛い思いをしているのは自分だけではないことと、友達や相談できる人がいたことで通い続けることができ、贅沢な悩みがあるといわれるだけ無駄ではない受験期だと思いました。

いつも凹み気味の私をめんどくさがらず向き合って接してくれた先生方と、タチビの友達、工芸科の知り合いの方たちにはとてもお世話になりました。

お世話になった方々に心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

自分の技量

武蔵野美術大学工芸工業デザイン科の試験は、三時間という短い時間内で一つの作品を作ります。冷静に、要領良く計画的に試験に挑まなければ完成させることができません。

デッサンはなるべく書き直しがないよう、無駄な仕事を省いていました。平面構成はエスキースとするべき作業を効率良く考える力が必要です。出された課題に柔軟に、自分らしさも忘れずに取り組むことが要であると意識しながら描きました。

佐藤ひなた さん

立美での受験生活編

私は高2の春に、タチビの基礎科に通い始めました。小中学生の時に画塾には通っていましたが、美大受験予備校に通い始めたのはこの時が初めてだったため、“受験向けの絵”を勉強する気持ちで通っていました。

基礎科のうちは基本的な構成デッサンや石膏デッサンを2週間に一課題のペースで行いましたが、私は課題を講評日より早く終わらせてしまうことが多くありました。その為一度先生に「課題を早く講評してもらうことはできますか?」と聞いたことがあり、先生には「課題を目標通りの時間配分でこなすことが大切だ」と答えていただきました。その時の自分にはまだその理由を理解することが難しかったのですが、その意味を実感したのがデザイン科に通うようになった時でした。

デザイン科ではより専門的な課題が出る為、基礎科の時に比べて意識しなければならないことが格段に増え、より“考えながら”制作をすることが大事になりました。その上、課題のスパンも4分の1になったので、今までとは違い講評時間直前まで焦って作業することが増えました。私はその時に、与えられてる時間を上手く使うことがいかに大事かという、基礎科の先生がおっしゃっていたことを痛感しました。そして、基礎科にいた時は“考えながら”制作することを怠っていたのだなとも思いました。

私は受験期が近づくにつれて、とにかく受かりやすい絵を描けば安心だなと心の底では思っていました。しかし、先生方は講評の度に、「自分のやりたいことを全面に」「自分だけの表現をやろう」と伝えていました。「受験用の絵を描かなくていい」ともおっしゃっていました。そこでもまた、自分がタチビ入学時に考えていた“受験向けの絵”を勉強しなければいけないというのも間違いだったかもしれない、と思い直しました。

私がその事を受けて自分だけの表現を追求して迷走していた時期には、なかなか思うように見ている人にやりたい事が伝わらず、上段に上がることも減ってしまいました。受験勉強をする上で1番大変だったのは、この「自分がやりたい表現」と「誰にでもわかる美しい色彩構成」のバランスでした。挙句には自分がやりたい事が何か分からなくなりかける時もありましたが、そんな時は真っ先に講師の先生にアドバイスを聞きに行きました。先生方は一方的なアドバイスではなく、一緒に悩み、私の強みを生かせるような提案をいつもしてくださいました。そのおかげで、受験直前には自分の表現が固まり、技術的な所以外の面でも安心できる要素ができました。

私は2年間タチビに通い、受験に向けてのセオリーではなく、絵をこれから描いていく上での、また、1人のデザイナーとして活躍するためのスキルを学ぶことが出来たと思います。講師の先生方には、全てを教えてもらうのではなく、自分の力で制作をこなせるよう常にそばにいて手助けしていただいているような感覚でした。2年間を通して、大学に進学するのがゴールではなく、大学での生活、そしてその先へと目を向けて勉強する事が出来た経験が、これからの大学以降での自分を支えてくれるのだと強く感じています。

入試編

私にとっては視覚伝達デザイン科の入試が初めての大学入試だったのもあり、1日目の朝は特に緊張していました。私はアドバイスを元に自分が気をつけなければいけない事チェックリストを作っていたので、それを入室直前まで確認したことで不安と緊張を忘れることができました。試験が始まった後は、絵を描くことに集中し、予備校でしていた通りに制作をすれば良かったので、特に変わったことはありませんでした。緊張していた分もありましたが、特にデッサンはその時出せるベストの制作ができたと思います。

三上 さん

コツコツ頑張った

私が初めて立美に来たのは高3の春休みの春期講習でした。石膏デッサンと平面構成をやったのはそれが初めてでしたが、楽しいと感じたことを覚えています。その後、緊急事態宣言が出ていたこともあり、きちんと通い始めたのは6月中旬からでした。
入学当初から夏期講習頃までは周りの人との差に焦りを感じてしまうこともありましたが、だんだんと自分のペースで作品をこなしていけるようになりました。私はあまり上段に上がることもなく、受験期中は自分が上達していることを実感することもありませんでしたが、今振り返ると、それでも立美に来てコツコツ課題をこなしていったことで技術や知識は確実に上がっていったと思います。
特に役に立ったと感じる課題は、10月頃から始まったホームワーク課題です。それまで、やってみたい作品の雰囲気や技法があってもなかなか挑戦することができていませんでした。しかし、じっくり考えてから制作することができたホームワークは、色々と試して自分に合った方法を探したり、基本のことを思い返す良い機会になりました。普段の課題や学校と並行して行うのは大変でしたが、サボらず提出し続けたことが後に役立ったと思います。
もう一つは、コンポジションゼミです。この課題のおかげで、それまで漠然としかわかっていなかった構図についての良し悪しが、論理的に理解できました。その後から、今までより流れや余白について意識できるようになりました。
私の受験期を振り返ると、特段スランプになることもなく、絶頂期があったわけでもなく、淡々と過ごしていた感じがします。でも、それが逆に良かったのかもしれません。もちろん大変なことがなかったわけではありませんが、ストレスが溜まりすぎることもなく、試験当日までほどよい緊張感で過ごすことができました。
立美では、周りの友達たちや、先輩たちから良い刺激をもらいながら最後まで頑張ることができました。大学でもここで学んだことを忘れず、さまざまなことを吸収しながら、充実した時間を過ごしたいと思います。ありがとうございました。

焦らずいつも通り

最初に受けた武蔵美の試験では、途中で焦ってしまい、今までやってきたことを出し切ることができなかったので、多摩美の試験本番は、とにかくいつもと同じように最後まで楽しんで描こうと思って臨みました。あとは、課題文を何度も読み返して、周りをよく見て、課題違反だけはしないように気をつけました。周りの人の作品をよく見たことで、似ている構図を避けることができたのも良かったとの思います。

山崎純 さん

背中を支えてくれるタチビ

私がタチビにいて、最も良かったと思っていることは、自分主体で作品を作り続けられたことです。物事を継続的に改善していくための考え方として、PDCAサイクルというものがあります。4文字のアルファベットはそれぞれ、P(plan:計画)D(do:実行)C(check:評価)A(action:改善)を意味します。タチビはそのPDCAサイクルを自分主体で回すことを強く教えてくれたと思います。タチビでは生徒個人が自分で考え成長していくことを重視しているので、講師の方々も手取り足取り何でも教えてくれるという訳ではありません。しかし、私はそこにこそタチビの良さがあると思います。自分で次の課題をどのように製作するか計画し、実行する。そして、講評を受けて自分なりに評価し、次の改善点を探る。これを、自分の頭で回せるようになったことは、タチビに来たからこそだと思います。しかし、経験の浅い我々では、自分の反省や改善方法が完璧に正しいとは言えなかったと思います。そこで助けてくれたのが、講師の方々でした。私たちが講評されても納得しきれなかったとき、どう考えてどのように描いたのかを講師の方々に伝えると、そこに真摯に向き合い、生徒それぞれの意図に合わせて指導してくださいました。私はこのような、まず自分で考えることを優先し、自分が必要だと感じたときに助けを求めると、全力で答えてくれる講師の方々という仕組みがタチビの素晴らしいところだと思います。実際に受験期には、自分で研究することや、自分らしい表現を追求することの大切さを教えていただきました。自分なりのやり方で評価をもらえたときの達成感はとても大きかったです。さらに、そのように自分で研究することは、受験作品を描いているという感覚を忘れさせてくれました。配られる課題に対して、自分の答え方をするという意識が強くなり、課題をやっていて不安や緊張感より楽しさが上回ることが多かったです。そうして、絵を描くことが楽しくなると課題のとき以外でも、周りのものにたくさん興味が湧くようになりました。タチビは課題という縛られた中でなく自分の好きな物事を描く、という絵の基本でありながら受験を前にして忘れてしまいがちなものを常に残してくれていたと思います。自分で考え、大きな視野を持ち、楽しく掛けるタチビは最高です。

今までやって来たことを信じて

受験当日は、今まで通りにこなすことだけを考えていました。視デは試験時間が3時間ととても短かかったため、私は焦ってしまいがちでした。しかし、時間が短いからこそ焦ってしまうことは致命的です。ちょっとミスしたり思い通りにならなかったりしたときに、一度深呼吸して切り替えられたのは、間違いなくタチビのおかげでした。自分で考えて製作してきたことは、自分の作品は間違いなく自分の力で、作り上げてきたのだから大丈夫という冷静さに繋がりました。

青木萌花 さん

仲間の存在

私が立美に入学したのは高校2年生の終わり頃、右も左もわからない状態で不安な気持ちの方が強かったように思います。しかし、先生方が丁寧に教えてくれたり話しかけたりしてくれるので、だんだんと不安が消えていきました。そんな生活の中で立美にいて特に良かったと思うことは大きく分けて2つあります。

1つ目は仲間の存在です。
一緒に過ごしていろんな話をするうちに仲良くなって、毎日通うのが楽しくなりました。仲間の様々な作品を見て刺激を受けることができ、自分のためになったと思います。ライバルであり同じ目標を持つ仲間の存在は受験勉強をする中で大きな支えになりました。友人同士でアドバイスをし合うのも、相手が普段何を意識して描いてるのかよくわかるので面白いと思いました。
お昼ご飯は友達と食べたり、お店に行ったり、近くの公園に行ったりと、気分転換をして過ごせることも立美のいいところだなと思います。
2つ目は立美の雰囲気です。
アットホームな雰囲気で仲間はもちろん、先生方も1人1人に丁寧に接してくれるので、気になる、わかららないと思ったら、わかりやすくアドバイスしてくれるので、すぐ次に活かすことができました。作業の時間は緊張感があり、集中して取り組むことができます。
先生のアドバイスの中で印象に残ったのは、「自信を持つ」「楽しむ。」と言う言葉です。受験当日が近づけば近づくほど、不安になり自信がなくなってしまい悔しいと思う日も増えていきました。

そんな時、二つの言葉を思い出しました。楽しんで描くことで自然と自信も湧いてきたように思います。ここの光が綺麗だな、この角度が美しいなど、モチーフに興味を持ってリアクションをすることも楽しむことに繋がると実感しました。
「楽しむ」、「自信を持つ」という意識が、合格につながったのだとおもいます。 応援してくれる先生や仲間のおかげで、ここまで頑張ることができました。たくさんの苦しいことや悔しいことがあったけれど、支え合ったり助けてもらったりして乗りこえることができたのだと思います。長くてあっという間な立美での受験生活は、私にとってとても大切な時間になりました。

いつも通り落ち着いて

当日は、緊張したり焦ったりするので早めに来て準備を終えて気持ちを整える時間をつくりました。たくさんの受験生に圧倒されつつも今までやってきたことを思い出しながら試験に臨みました。試験会場は光がとても綺麗で明るいのが印象的です。緊張するけれど積極的に離れて確認することを繰り返しました。最後まで焦らずに落ち着いて描くことが大切です。だいたいの時間配分を決めるのもいいと思います。自分の力を信じて自信を持って挑むことで1番良い作品ができると思います!