デザインとは何ですか。
デザインとは画材や素材にとらわれずに、自分の考えを形にしていく仕事です。
みなさんがよく目にするポスターを作ったり、Webや雑誌の編集したり、あるいは映像やCM制作のように時間に関わること、またもっと身近なものでは、日ごろ使っているすべての道具や、着ている服、よく食べるお菓子など、さらに、飛行機や船、自動車のデザインから街並みの設計のように壮大なものに至るまで、さまざまな分野におよんでいます。私たちの生活の中でデザインに触れない時間はないかもしれません。
また、イラストレーターや写真家、絵本作家、漫画家、アニメーションなどの映像クリエーター、空間演出家からパフォーマンスに至るまで、あらゆる作家としての道もひらけています。さらに、陶芸、ガラス、金工、漆芸のような工芸の世界を深く追求して行くこともできます。自分の限りない力に向かってチャレンジしてみて下さい。
デザインとは、既成のものにとらわれないで、なにか新しいものを生み出していくエネルギーです。みなさんの夢と希望にあふれた輝く未来を期待しています。
デザインのジャンルは広いですがどの専攻を選べばいいですか。立体系、平面系って何ですか。
みなさんの中には、平面系、立体系という言葉(予備校の中だけの用語です)を、ご存知の方もいると思いますが、自分がどちらに所属するのかを、いま決める必要はありません。理解していなくてもかまいませんし、将来、何をやるのかが現時点で決まっていなくても大丈夫です。立美のデザイン・工芸科では、デザインの分野の説明をしたり、大学の授業の内容を紹介したり、面談しながら進行していきます。将来の可能性をいっしょに考えていきましょう。また、デザインという広い世界では、多くの場合は大学に行ってからも自分探しを続けていくことになると思います。あわてずにじっくりと構えていて下さい。いま必要なのは、みなさんの何かを作りたい!という熱意です。
ちなみに、平面・立体という言葉は、形式的な分類ですので、将来の職種を意味するわけでもありませんし、試験の内容でもありません。平面的なデザインをするところが平面系というわけではありませんので気をつけて下さい。また、平面系の試験が平面構成とか、立体系の試験が立体構成というわけではありませんので勘違いしないように注意して下さい。
参考までに平面系とはビジュアルデザインのことを広く意味していて、広告に関するすべてのことを含め、あらゆるジャンルに関わってきます。ポスターやイラストレーション、写真などはもちろんのこと、立体である商品のパッケージや、企業や店舗のイメージやディスプレイとしての空間演出、アニメーションや映像による表現、雑貨や玩具のようなものに至るまで様々に展開しています。また情報デザインのように人間の意識にかかわる新しいスタイルのデザインも含まれています。
立体系では自動車や家電のような機能を意識した工業製品だけでなく、インテリアとしての照明器具や家具、さらには店舗の設計や建築、街作りそのもののような大規模な構想まで及んでいます。また工芸作家として自分の世界を追求したり、食器やアクセサリーのような身近なもののデザインをしていくことも可能です。また、多摩美のテキスタイルデザインのようにどちらに含まれるともいえない専攻もあります。少しずつ将来のビジョンを立てながら、みなさんの受験のスタイルを決定できるようにアドバイスしていきます。
美大のデザイン科の多くの専攻は併願して受験ができるため、同じ大学内でもいくつも受けることができます。どれかひとつの専攻だけに絞り込む必要はありません。自分の可能性や、進みたい道を柔軟に考えて、自分のやりたいことができる場を幅広く選択していくといいでしょう。
もちろんビジュアルデザイン中心に考えていても工芸工業デザインや環境デザインの受験はできますし、その逆も可能です。立美ではすべての受験に必要な実技の基本を柱にしながら、受験直前には各専攻に合格できるように、それぞれの傾向に対応していきます。最初から将来の職種を決定するというわけではありませんので、一年間をとおして、ぜひ自分の好きなことや得意なことを探してみて下さい。
デザイン・工芸科の受験では何が必要ですか。
デザイン・工芸科の受験で必要なものは、英語、国語の学科と、デッサンと構成の実技です。その合計点で合否が決まります。受験する専攻によって多少の傾向の差はあるものの、基本的なことにおいては、どの大学、どの学部でもまったく同じです。立美のデザイン・工芸科の実技の授業では、基本的な描写力と構成力を養いながら、自分の考えでしっかりと物を作れるようになることを目標にしていきます。一見、受験とは直接的には関係ないと思われる課題もありますが、最終的に受験に必ず役立つようにカリキュラムが作られています。目先の試験科目にとらわれないで、じっくり取り組んで下さい。くりかえしになりますが、常に新しい何かをチャレンジしていくみなさんを期待しています。
まだ将来の方向性は決まっていなくてもかまいませんが、一回一回の制作においては何かを言い切っていけるように頑張って下さい。デザイン・工芸科での勉強はとても楽しいものとなります。
デザイン・工芸科の受験において学科はもっとも大切です。現状でのみなさんの学科の力はわかりませんが、できる、できないにかかわらず、美大受験のための学科の勉強しない人は合格すること難しいので注意して下さい。学科では大学入学共通テストでの受験もできますので一般入試との併願が可能です。
受験においてデザイン・工芸科として有望な人とはどんな人ですか。
- 絵心があり、絵を描くことが好きな人。
- 色に興味があり、色彩センスを磨いていける人。
- 前向きに新しいことにチャレンジできる人。
- 自分の作品を大切に、丁寧に仕上げられる人。
- 本気で学科をコツコツと勉強する人。
- 大学に受かりたい人。
この中に1つでもあてはまるものがあれば受験生として有望です!
デザイン・工芸科で使う道具
まず、最初に必要な用具の種類をあげておきますが、これから経験を積むに従って表現に応じて材料の種類を増やして下さい。
デッサン用具
- 鉛筆(ステッドラー または ハイユニ 4B〜4H)
- カッターナイフ
- 練りゴム
- デスケール(木炭紙大用)
- はかり棒
- フィキサチーフト
- パネル(芸大サイズ、B3サイズ)
- クロッキー帳
水張り用具
- 水張りテープ
- 刷毛
- 筆洗
平面構成用具
- ターナーアクリルガッシュ 24色Aセット
- 筆(面相筆、彩色筆、平筆 各小〜大 3〜5本)
- 筆洗
- 水差し
- コンパスセット
- 烏口
- 溝引き棒
- 定規(60cm)
- 三角定規(30cm)
- ペーパーパレット
- 陶器絵皿
- マスキングテープ
- パネル(B3サイズ)
立体構成用具
- 粘土べら(各種)
- 三角定規
- 接着剤(スチのり)
- カッター
- サークルカッター