映像・先端芸術表現科の指導について
見る側から作る側へ
自分のできるところ、できないところを知る!
武蔵野美大・多摩美大・日芸芸術・東京工芸大等の各映像系学科入試では実技、論文、学科の3科目が出題されます。「映像・先端芸術科」では、この3科目を総合的に一年を通じて学習します。実際の入試では、3つの内、どれひとつ欠かすことなくバランスよく得点できることが大切です。 自分の今の実力を思い浮かべて下さい。 3科目のいづれにも自身のある人、まだ自身のない人もいることでしょう。なかには今、美大受験を考え始めたばかりで、自分に一体何ができるのか分からない人もいると思います。スタートは初心者でも大丈夫!映像メディア科の授業では、自分のできるところ、できないところを知ることからスタートします。映像メディア科に入学する人が皆経験者というわけではありません。中には「絵を描いて物語ってどうやってつくるの?何をするの?」「パネルって何?」と4月に言っていたが、3月には見事合格を果たしてます。1年間あれば、やる気次第で充分合格レベルに達する事ができるようにカリキュラムを組んでいます。具体的には、4月からの授業は、初心者が対応できることを考慮しつつ進めていきます。 「映画って何で撮影しているんだろう?」という小さな疑問があるとしたら、その答えは講義の中にあるでしょう。イメージを形にするための知識を段階事に伝えていきます。また、技術的にも、鉛筆の削り方から始まり、画用紙に向かう姿勢、人物の描写、町・川・山などの日常風景の描き方、最後に、魅力的なカメラアングルの選び方へと一歩一歩、段階事に実力をつけれるように構成されています。このステップアップ方式の授業・講評の中で、初心者の人も楽しく学べます。逆に初心者だからだからこそ持ち得る「新鮮な気持ち」は、一年間を通して集中して実力を付けていくための武器となるでしょう。それは、現役生にもあてはまることと考えています。
多彩な授業内容!
大切なのは「新鮮な気持ち」。映像メディア科の授業は、アトリエで絵を描いているばかりではありません。屋外スケッチ遠足・路上観察・句会など、愉しみながら絵と言葉を学べるカリキュラムになっています。また毎年5?6月にかけてデジタルビデオカメラを使用したグループ制作による撮影実習があります。この授業で初めてカメラを扱ったという生徒がほとんどです。こうした授業を通して実践的な映像感覚の育成をはかります。
映像作家への第一歩!
9月に行われる立美祭の自由制作では、映画撮影・ビデオ・メディアアート制作のための実習指導を行います。個人制作でもグループ制作でもOK. 企画からテーマまで初めて全部自分でつくる映像作品です。これが映像作家への最初のステップになるはず!
映像の「目」を養おう!
良いものをつくるには、良いものをたくさん見ることが大切。普段の授業でも鑑賞の時間を設けたり、講師お薦めの映画を紹介したりします。現役高校生は学校と立美の授業の両立で忙しいかもしれませんが、時間を見つけて本や映画などをいっぱい観よう。浪人生は1日全部が自分の時間です。時間を有効に使って立美の課題と自分の自由時間を過ごししょう。タチビから歩いて行ける距離に映画館も図書館も大きな本屋さんもあります。また、1ヶ月に1度は足を延ばしていろいろな展覧会を観に行ったり、知らない土地を探索したりする事も、「ものをつくる目」を養います。こうした経験の積み重ねが幅広いアイデアを生みます!
‥‥‥では、立美映像・先端芸術科での主な授業「実技」と「小論文」を見てみましょう。
実技について
『雨が降る?』実技ではまず、言葉を視覚化することから学びます。たとえば、「雨が降る」。この文章を読んで、あなたはどんな風景が頭に浮かびますか?きっと、ひとりひとりが想像した風景は違うはずです。では次に、その風景を誰かが見ているところを想像します。自分の視線、第三者の視線、もしも雨雲が見ているとしたら・・・。見る人の違いはそのまま、風景の違いとなります。このように、ひとつの言葉や文章から生まれた自分のイメージを、どんどん膨らましてゆく作業をクラスの皆で行います。最初は小さなイメージも、肉づけされることによって誰とも違う自分だけの大きなイメージへと変わるのです。 ここで生まれたイメージを、他人に視覚的に伝えるために必要なのが、デッサンや絵コンテです。時の流れを表すためには絵コンテで表現する必要があり、ものごとを正確に伝えるためにはデッサン力がなくてはなりません。そうしてはじめて作品は生まれます。 作品を作ることに決して近道はありません。が、このように、しっかりとした道筋が必ずあります。
論文について
『頭の中で汗をかく』小論文が書けるようになるにための方法は二つあります。一つ目は、「よい文章を読んで、その文章の表現や言葉や考え方や構成を真似する」ことです。上達するにはお手本が必要なわけで、授業では、まず、よい文章を読むことを重視しています。もちろん、よい文章の中には先輩達の参考作品も含まれますが、それ以上に、作家や表現者たちの刺激にとんだ文章を読んで、そこから書くためのエネルギーをいただくようにしています。 上達の二つ目は、「課題について一生懸命、頭の中で汗をかきながら書く」ことです。「頭の中で汗をかく」ことが、文章が書けるようになることの出発点です。それは、本当の思考力を身につけるということで、考え抜くことによってのみ、文章はおのずと書けるようになるものです。そして、考え抜かれた文章を講師が一生懸命に読んで添削し、アドバイスを施します。単純なようですが、「一生懸命に書いた文章を一生懸命に読む」人がいれば、文章力はおのずと上達するものです。
これから
あなたにとって、美大映像受験は今スタート地点です。入試には必ずスタートとゴールがあります。ゴールにたどり着くには日々の努力が必要ですが、映像メディア科は、そのスタートとゴールの間をできるかぎり縮める援助をします。 さあ、あなたの作品を見せて下さい!